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■開発した背景
近年,台風や集中豪雨などに起因する豪雨災害が多発しており、それに伴い堤防の決壊事例も見られるようになってきている。破堤による被害は甚大であり、
その8割以上が越水に起因するものであると言われている。越水破堤に関する研究は様々な手法で進められているが、破堤過程などそのメカニズム
(破堤のきっかけ・破堤幅の拡がり過程・落ち掘れの形成過程・水理特性など)は未解明な部分も多い。越水破堤に関する研究の発展には、とくに実スケール(実物大)
での3次元越水破堤メカニズムを時系列で把握することが非常に重要である。またこれらが明らかとなることで、破堤後における堤防復旧等の危機管理対策技術の向上や
ハザードマップの精度向上など、行政への還元も期待ができる。
現在、北海道開発局と(独)土木研究所寒地土木研究所では実スケールの実験水路として、十勝川千代田実験水路(以下、千代田実験水路)を用いた実験を行っている。
2009年度より実スケールにおける3次元越水破堤実験(堤外河川の流れを考慮しない正面越流)を計画しているところである。しかしながら実験規模が非常に大きく、
観測が広範囲で且つ計測項目が多岐にわたることからも、2008 年度は計測機器の機能検証や計測手法の確立を目的に、千代田実験水路内に横断堤を造成し2次元越水破堤実験
(堤外河川の流れを考慮しない正面越流)を行った。
出典:(独)土木研究所 寒地土木研究所 「千代田実験水路における横断堤を用いた越水破堤実験」より抜粋
■要求仕様
三軸加速度測定器は、越水破堤に関する研究目的で十勝川千代田実験水路を使用して、実スケール実験を2008年度から行っていたが、
破堤過程などのメカニズム解析のデータ取得の目的で、長期間三軸加速度を連続測定できる測定器を開発した。
十勝川千代田実験水路用の三軸加速度測定器の開発にあたり、設計条件は次のとおり、技術的・経済的方面から実現可能な方法を検討した。
XYZの3軸方向の加速度を記録、1秒サンプリング(越水破堤のタイミングを観測する)、
1ヶ月以上連続して記録(実物大の堤防を作りながら埋設する)、小型で軽量で水に浮くこと(破堤後機器を回収する)、
安価であること(実物大の堤防に埋設する為、多量に必要)などが主な条件であった。
■特許取得概要
発明の名称:試験用堤防におけ計測および計測装置
特許番号 :特許第5205678号
特許権者 :(株)環器
(株)北海道フィールドサポート
発明人 :滑川眞永、滑川知広、白井博彰
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